日時:1994年10月27日(木)~29日(土)
場所:大阪市 大阪市立中央青年センター
大阪府立青少年会館
<大会当日のスケジュール>
27日
12:30 「新大阪駅」中央集合
13:00 説明会
受付
1 歓迎あいさつ
2 プログラム説明
3 連絡
14:00 各作業所見学
1 西淡路希望の家
2 パンジー
3 出発仲間の会
4 豊能障害者労働センター
18:00 各作業所での交流会
28日
9:30 大阪市立中央青年センター集合
10:00 大阪府の福祉担当者との話し合い
1 あいさつ
2 大阪府の方からひとこと
3 簡単な作業所紹介
4 みんなからの発言
5 まとめ
12:00 おべんとう
13:00 全体会
※お茶・お菓子の時間
※ピープルファーストカナダ大会ビデオ上映あり
受付
1 あいさつ
2 各作業所取り組み紹介
3 『ピープルファースト』への思い
4 来年の開催の約束
16:00 全体交流会
※レクレーション
17:30 夕食会
食事をしながら、交流をしよう!
19:30 各宿泊所へ移動
29日
9:00 『みんなで話合おう』
お互いの気持ちをもっと、よく知ろう!
①お金のこと
②好きな人のこと
③やりたいこと
11:30 おべんとう
13:00 市内観光
A:水の都大阪を船の上から約1時間見学(水上バス)
B:海のめずらしい魚たちを見る(海遊館)
解散
当時の報告・感想
「政府に私たちがやってほしいと思っていることを知らせる」 八木 雅弘(大阪:なかま会)
1.日本の知的障害者
みなさんこんにちは、私の名前は八木雅弘といいます。日本の大阪府というところから来ました。アメリカは今回が二度目です。1993年6月にカナダのトロントのピープルファーストの世界会議に訪れたときにも、ここサクラメントにもたちよりました。ですから、もしかしたら以前おあいした方がいるかもしれません。前回は、ぼくたちにとってもはじめての海外体験で、みるものきくものおどろきの連続で、なによりも知的な障害をもったなかまたちが、アメリカや力ナダではとても自信をもちさまざまな場面で発言していることを知り、少々ショックでした。 日本でも知的障害者はたくさんいて、社会でもかつやくしているのですが、そういった人たちはごく一部で、おおくの知的障害者は就職ができず、「作業所」というところで、1万円ていどの給料をもらっているにすぎません。しかも、自分の意見をもっている人はごくごくわずかで、作業所の職員や親にしたがうのがほとんどでず。
2.ピープルファーストを知って
でも、3~4年前にピープルファーストの存在を知り、なかまどうしがつながることによって「力を発揮」できることをおしえられ、いくつかのこころみをしてきました。そのひとつが、l992年の9月より、わたしたちの住んでいる大阪府という地域ではじめた、知的障害をもったものたちのあつまりである「なかま会」です。これまで、日本では知的障害者は本当にせまい地域でしか生活の機会をあたえられてきませんでした。しかし、海をこえたところにもこのようになかまがいるということを知ったことにより、大阪という地域でもたくさんのなかまがいることを知りました。現在「なかま会」では大阪府の5カ所の地域から月に一度なかまがつどい、仕事のこと、しょうらいについて、それから年間のさまざまな行事についてはなしあっています。毎月、アドバイザーもいれると30人以上がつどい、たのしい時間をすごしています。
3.全国知的障害者交流集会のこと
それから、もうひとつですが、これはもっと広い地域、といってもアメリカにくらべれば何十分の1の広さしかありませんが、日本という国の中で知的な障害をもったなかまとつながっていこうという試みです。昨年の10月27・28・29日に、はじめて「全国知的障害者交流集会」というものを大阪で開催しました。日本各地7都道府県20地域から約100名ほどのなかまがつどい、さまざまなことをはなしあいました。 3 日間にわたってもたれたこの会議は、はじめてのこころみで、おおくの課題ものこしましたが、日本でも「やる気」さえあればできるという自信がみんなの心につきました。 この会議では、初日はぼくのはたらいている「西淡路希望の家」という授産施設で交流会をしました。2日目の午前は「大阪府とのはなしあい」、午後からは全体会ということで「ピープルファースト世界会議」のビデオを見ながら、「ピープルファーストへの思い」についてはなしあいました。3日目は、午前中のプログラムで3つのテーマにわかれてはなしあい、午後からは大阪の市内観光をしました。
4.福祉行政担当者とのはなしあい
まえおきがながくなりましたが今日は、この会議の2日目の午前のプログラムにもった「大阪府の福祉行政担当者とのはなしあい」のときのようすをかんたんですがみなさんに紹介したいとおもいます。 日本でも知的障害者の直接のもうしいれを聞くというかたちで、会議の場に行政担当者がおとづれ知的障害者への「福祉行政施策」を説明するのははじめてのことでした。そのためもあってか、このプログラムのときは、大阪各地からおおくの知的障害者があつまり、会場にはいりきれないくらいの大盛況でした。 なにぶん、行政側も、公式に直接知的障害者にかたりかけるのは、はじめてのことで緊張されていたようすでした。大阪府の福祉政策、とりわけ障害福祉にかかわる長期計画の中でも知的障害者に関連あるガイドヘルパー制度やグループホーム制度について、担当者のかたがたはみんながわかるようにと慎重に言葉をえらびながらはなしてくれました。 当事者のしつもんも活発にだされ、グループホームの世話人の充実をうったえたり、さまざまな福祉制度を知的障害者も直接利用できるようにわかりやすくしてほしいなどの意見がだされました。広島や東京から来られたかたも、大阪府のかたに「うちのところの制度はこうなっているが、大阪府ではどうですか?」といったないようのしつもんをしていました。 今回行政との直接の対話の機会をもったことは、双方にとってひじょうに有意義で、今後も行政側が直接知的障害者自身にかたりかけることの重要性を認識するうえで、よい前例になったとおもいます。
5.日本の障害者運動 今回、ぼくたちはおおくのなかまが大阪であつまるということを、大阪府にうったえ、このようなはなしあいの場をもつことができました。しかし、日本の各地で知的障害者が直接行政にうったえたとしてもおそらく門前払いをされるでしょう。知的障害者はまだまだ、直接話し合う相手ではないとおもわれている現状が日本ではありまず。 でも、さいわい日本のばあい、とくにわたしたちのなかまの障害者の運動は障害別ではなく、さまざまなハンディをもった人たちが、つながりあいながら行政との直接交渉をしてきた25年ほどの歴史があります。当時、施設や家族から、「訓練」によってではない、「自立」をもとめて、さまざまな制度をかちとってきた、せんばいたちに学びながら、ぼくたちも日本における知的障害者の権利を拡大していきたいとおもいます。ぼくのはなしをきいてくれてありがとうございました。今後とも、みなさんと末長くおつきあいできることをねがって、話をおわりたいとおもいます。
(「もっともっと!ピープルファースト」ピープルファーストはなし合おう会刊より部分抜粋)
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